第一回 林翠(2002/08/15更新)
どうもこんにちわ。この連載、また始まるんです。
本番までの約1ヶ月、役者さんのPRに貢献するこの企画、フィクショニア編第1回目のゲストは林翠さんです。

まず皆様に重大なお知らせをしなければなりません。
作品に『女の病気シリーズ』と銘打ち、過去には「水商売演劇」と称された劇団、本谷有希子にも越えられない、いや、越えてはいけないデッドラインが存在することをあなたは御存知でしょうか。
今回、そのデスバレーを自ら越えてしまった主宰、本谷有希子さん。
「あたしにとってはね、かなり大きいステップなのッ」
というわけで、以下伏せ字込みでお楽しみください。
林さん、今日も発声練習から。いい1日はいい笑顔から。
「アンコッ アンコッ アンコッ」
「アンコッ アン・・・コ・・」
声出ししながらも意識は数日前の稽古場へと遡ります。

そう、あれは問題の箇所の台本が配られた日のことでした。
「ホラ、言ってみなさいよ」
「女優なら、やれるわよね、このくらい」
「つか、あんたやる気あんの?」
「なんならこの靴燃やしたっていいんだよ?」

諸先輩方からの厳しい指摘を受ける林さん。
そう、その日配られた台本には
真ん中の字は常に伏せ字と相場の決まっている
劇団、本谷禁断のことばが記されていたのでした。
「アァッ?あたしがマ○コっつったら
『イエス!マ○コ!』だろッ?セイッ!」

藤原先輩のジョートーな指導に怯える林さん。
そんな女子界の掟に怯える男子たち。
本谷の現場はどうしても女子の絶対数が多いため
しばしばこういう光景が見られます。
「悔しい。どうして、どうしてわたしには言えないの?
 たった3文字、マ○コと、言ってしまえば済むことなのに」

マ○コに「お」は付けるべき?
イントネーションはお国柄によって違うもの?
劇団、本谷は恋が生まれる現場を目指すって噂だったのに
だのにどうしてマ○コよ、本谷さん。
女の子が言っちゃったら恋が生まれるわけがない魔法のことば。
わたしに言わせるのは何故?
そんなわけで涙の止まらない林さん。
涙くんさよなら。
きのうまでのわたしとはサヨナラするの。
グッバイ、ウブなミドリ。
今日こそ言える、きっと言える。
見てろー先輩ー。聞いとけー本谷ー。
大きく息を吸い込み、真夏の日射しに向かって叫ぶ林さん。
「マ○コ」って言ったってきっと恋は生まれるはず。
そういう女の子のほうが好きな男性だってきっといるはず。
いやむしろ渋谷とかその辺の界隈では日常語のはず。
さあ勇気を出して、セイッ!

「アンコーーーーーーッ」
女の子の口から「目くそ」とか「わき毛」とかいう言葉が発せられることに強烈な焦りを感じる私です。しっかりして!守ってそこんとこ!
さて次回は、この人ひょっとしてキョンキョンに似てるんじゃないかと思えてきた横畠愛希子さんの登場です。お楽しみに。


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